吸収糸と非吸収糸 吸収糸は一定期間は張力を維持しますが、時間とともに加水分解され体内へ吸収されていきます。 消化管、皮下組織、膀胱などの尿路などは吸収糸を用いられ、非吸収糸は生体内で分解されないので長期間にわたって張力を維持したい部位、血管や心臓の弁や靭帯などに用いられます。 バイクリルラピッドは1週間程で吸収が始まるといったように、吸収糸の分解される期間も商品によって異なります。 特に膀胱などの尿路系は残った糸を核として結石などができる可能性があるので、吸収糸でもラピッドのような残存期間が少ないものが使用されたりします。 天然糸か合成糸か 現在使用される天然糸は蚕 かいこ から作られる絹糸 シルク だけです。 以前までは牛の腸から作られるカットグッドが使用されていましたが、BSE問題 2001年にあった牛海綿状脳症に感染した牛が発見された問題(詳しくは)後から使用されなくなりました。 合成糸はナイロンやPDSなどのさまざまな種類があります。 モノフィラメントかブレイドか モノフィラメントは単糸とも呼ばれ、ブレイドは編糸 あみいと やより糸とも呼ばれます。 モノフィラメントは単糸なので、組織通過性がよいので組織を傷付けにくいです。 編まれていないので感染にも強いです。 ブレイドはしなやかで結びやすく結び目も緩みにくいです。 編まれているので繊維と繊維の間に細菌が入り込むことがあり、感染対策的にはモノフィラメントに劣ります。 縫合糸一覧 吸収糸・ブレイド バイクリル、ポリゾーブ バイクリルは有名ですね、汎用性があり様々部位に使用されます。 吸収されるまでが早いバイクリルラピッドや、抗菌作用のあるバイクリルプラスなど種類が豊富です。 改良版にマクソンなどがあります。 モノクリルは7日程度で張力が弱まります。 4-0モノクリルは真皮縫合などで使用されます。 非吸収糸・ブレイド 絹糸 天然糸で扱いやすいですが、切れやすいという欠点もあります。 手術だけでなく、デバイス類の固定など様々な場所で使用されます。 非吸収糸・モノフィラメント ナイロン、プロリン ナイロンは張力が強く、単糸なので感染に強いです。 結び目が緩くなりやすいので何度か結ぶ必要があります。 プロリンはポリプロピレンが素材であり、ナイロンよりも強度があるので心臓や血管吻合で使用されます。 konoseisakusho. htmlより引用 3号、2号、1号と数字が小さくなるに連れて糸が細くなりますが、1号より細くなると1-0、2-0と数字が大きくなるにつれて細くなっていきます。 5-0で髪の毛くらいの細さなので、それより細くなると持針器で把持するのも難しくなってきます。 10-0などは眼科手術などで使用され、顕微鏡下に縫合されたりします。 針の種類 様々な種類がありますがよく使用されるものを紹介します。 丸針 消化管、血管など臓器に使用される糸。 病棟では基本的に出番は無いと思いますが、手術では丸針の使用が多くなります。 角針 三角形の形で硬い組織でも通過しやすくなっています。 腸などの柔らかい組織で使用すれば組織が避けてしまうので体の中ではほとんど使用されません。 逆に気管切開の絹糸固定など体の表面で使用されることが多いです。 鈍針 見た目は丸針に近いですが、針先が鈍になっており針刺しのリスクが少なく、縫合直下の組織を傷つけにくいという利点があります。 atomvetme. 強強彎のように彎曲が強くなれば深い部位、開腹手術の骨盤操作で使用されます。 まとめ 縫合糸や針は種類が多いですが、きちんと用途ごとに分かれているので特徴を理解すれば覚えやすいと思います。 手術看護では針の渡し間違えは場合によっては事故に繋がるので、しっかりと理解する必要があります。 医師が針や糸を言い間違えることもあるので、看護師が間違いに気がつくことで患者さんを守ることになります。 エラーを未然に防ぐことも立派な手術看護なのです。
次のどうも、こんにちは。 若手整形外科医のよせやんです。 昨日のACミランとナポリの試合見ましたか?僕は5時に起きてリアルタイムで見てました。 ちなみは本田選手は1アシストし、守備にも貢献し、悪くない内容でした。 本田選手も好調ですし、これで10試合負けなしのミラン。 今後の試合が楽しみですね。 さて、今日は自分が日常業務で疑問に思って調べたことを記事にしてみます。 というわけで、手術で使われる 縫合糸の種類と 使い分けについてまとめます。 組織通過時の組織損傷が少ない• ノンキャピラリーであるため細菌が伝播しない• 結び目のすべり下ろしが容易 【欠点】• 柔軟性に欠け取り扱いにくい• 結び目が大きくなってしまう• しなやかで取り扱いが容易• 結び目が大きくならな 【欠点】• 組織通過性が悪く組織損傷の可能性がある• キャピラリーであるため細菌が伝播しやすい• 編み目に細菌が宿り感染巣になることがある では、それぞれの特徴による使い分けを確認していきましょう。 モノフィラメントはノンキャピラリーであり細菌が伝播しないため、 感染には有利です。 一方、ブレイドは、糸同士のすきまに細菌が付着して感染を悪化させやすいため、感染創には不適です。 また、 確実な結紮が必要なときはブレイドを使用します。 糸がしなやかで結びやすく、かつ摩擦係数が大きいため、結び目がほつれにくいという特徴があります。 これと比較すると、モノフィラメント糸はゆるみやすく、結紮回数を増やすなどの対処や熟練した技術が必要となってきます。 縫合糸の具体例 以下、具体例を示したものです。 図:縫合糸の種類 僕の関連している病院で使っている商品をオレンジ色で書きました。 病院によって使っている商品を違うかと思いますが、根本的な分類を理解していれば、商品を見たらそれがどんなものなのか理解できると思います。 一度、自分の使っている縫合糸がどんなものか確認してみてください。 縫合糸の使い分けまとめ 最後に縫合糸の使い分けについえてまとめておきます。 糸の使い分けにおいて考えること• 縫合糸による汚染・感染を防ぐ• 縫合により不要な損傷を組織に与えない• 縫合により組織の修復をできるだけ妨げない• 生体内にできるだけ異物を残さない わかりやすくまとめると、 感染のリスクがある部位では細菌が付着しにくい糸( モノフィラメント)を使用するか、あるいは体内に残らない 吸収糸を使用する。 逆にマルチフィラメント(撚り糸編み糸)は、感染を悪化させる可能性があるため使用しない。 確実な結紮が必要なときは ブレイドを使用する。 消化管や尿路上皮のような治癒の早い組織は 吸収糸を使用する。 皮膚や筋膜、腱などの治癒の遅い組織では 非吸収糸または持久性のある吸収糸を使用する。 また、尿路系や胆道系では長期間糸が露出すると糸の表面に結石ができるため、 吸収糸を使用する。 まとめ 以上、今回は手術で使われる「 縫合糸の種類」と「 使い分け」についてまとめました。
次の吸収糸と非吸収糸 吸収糸は一定期間は張力を維持しますが、時間とともに加水分解され体内へ吸収されていきます。 消化管、皮下組織、膀胱などの尿路などは吸収糸を用いられ、非吸収糸は生体内で分解されないので長期間にわたって張力を維持したい部位、血管や心臓の弁や靭帯などに用いられます。 バイクリルラピッドは1週間程で吸収が始まるといったように、吸収糸の分解される期間も商品によって異なります。 特に膀胱などの尿路系は残った糸を核として結石などができる可能性があるので、吸収糸でもラピッドのような残存期間が少ないものが使用されたりします。 天然糸か合成糸か 現在使用される天然糸は蚕 かいこ から作られる絹糸 シルク だけです。 以前までは牛の腸から作られるカットグッドが使用されていましたが、BSE問題 2001年にあった牛海綿状脳症に感染した牛が発見された問題(詳しくは)後から使用されなくなりました。 合成糸はナイロンやPDSなどのさまざまな種類があります。 モノフィラメントかブレイドか モノフィラメントは単糸とも呼ばれ、ブレイドは編糸 あみいと やより糸とも呼ばれます。 モノフィラメントは単糸なので、組織通過性がよいので組織を傷付けにくいです。 編まれていないので感染にも強いです。 ブレイドはしなやかで結びやすく結び目も緩みにくいです。 編まれているので繊維と繊維の間に細菌が入り込むことがあり、感染対策的にはモノフィラメントに劣ります。 縫合糸一覧 吸収糸・ブレイド バイクリル、ポリゾーブ バイクリルは有名ですね、汎用性があり様々部位に使用されます。 吸収されるまでが早いバイクリルラピッドや、抗菌作用のあるバイクリルプラスなど種類が豊富です。 改良版にマクソンなどがあります。 モノクリルは7日程度で張力が弱まります。 4-0モノクリルは真皮縫合などで使用されます。 非吸収糸・ブレイド 絹糸 天然糸で扱いやすいですが、切れやすいという欠点もあります。 手術だけでなく、デバイス類の固定など様々な場所で使用されます。 非吸収糸・モノフィラメント ナイロン、プロリン ナイロンは張力が強く、単糸なので感染に強いです。 結び目が緩くなりやすいので何度か結ぶ必要があります。 プロリンはポリプロピレンが素材であり、ナイロンよりも強度があるので心臓や血管吻合で使用されます。 konoseisakusho. htmlより引用 3号、2号、1号と数字が小さくなるに連れて糸が細くなりますが、1号より細くなると1-0、2-0と数字が大きくなるにつれて細くなっていきます。 5-0で髪の毛くらいの細さなので、それより細くなると持針器で把持するのも難しくなってきます。 10-0などは眼科手術などで使用され、顕微鏡下に縫合されたりします。 針の種類 様々な種類がありますがよく使用されるものを紹介します。 丸針 消化管、血管など臓器に使用される糸。 病棟では基本的に出番は無いと思いますが、手術では丸針の使用が多くなります。 角針 三角形の形で硬い組織でも通過しやすくなっています。 腸などの柔らかい組織で使用すれば組織が避けてしまうので体の中ではほとんど使用されません。 逆に気管切開の絹糸固定など体の表面で使用されることが多いです。 鈍針 見た目は丸針に近いですが、針先が鈍になっており針刺しのリスクが少なく、縫合直下の組織を傷つけにくいという利点があります。 atomvetme. 強強彎のように彎曲が強くなれば深い部位、開腹手術の骨盤操作で使用されます。 まとめ 縫合糸や針は種類が多いですが、きちんと用途ごとに分かれているので特徴を理解すれば覚えやすいと思います。 手術看護では針の渡し間違えは場合によっては事故に繋がるので、しっかりと理解する必要があります。 医師が針や糸を言い間違えることもあるので、看護師が間違いに気がつくことで患者さんを守ることになります。 エラーを未然に防ぐことも立派な手術看護なのです。
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